こんばんは。沖縄旅行にてとれたてホヤホヤの民話です。
むかし、宮古の伊良部島に、働き者の漁師がいました。
漁師には、二人の男の子がいた。
七歳の長男と、二つ違いの五歳の次男で、二人とも眼のぱっちりした可愛い子で、漁師が仕事から戻ってくると、「わーい」と歓声をあげて飛びついていって、その両腕にぶらさがるのだった。
漁師は、二人の子どもを、とても可愛がっていた。
二人の子どもも、とても仲よしで、兄は弟の面倒をよくみて、兄弟嚇晦ひとつ、したことがないくらいだった。
しかし実は、二人は、母親違いの兄弟でした。
兄の母親は、長男を産むと間もなく病気で亡くなって、その後しばらくたって後添えにきたのが、漁師の今の妻で、そうして生まれたのが弟なのでした。
後添えにきた当座は、先妻の子の兄を大切に扱っていた。
やがて弟が生まれても、自分の子と先妻の子との区別なく、よく面倒をみたので、感心な後妻だと、近所でも評判になるくらいだった。
けれど、子どもが段々大きくなるに従って母親の気持ちは、少しずつ変わってきた。
長男と、次男との間には、財産の跡つぎや何かで、大きな差別があるのが、その頃のならわしだったから、自分の産んだ子の弟の方が、行く先、大きな差別を受けるようになることを考えると、胸のうちがおさまらなくなってくるのだった。
それで、自分でも気がつかずに、兄の方だけを、大声で叱ったりすることが多くなった。
それでも、兄の方は、これまでと変わらず、実の母親と思っていて、その無理ないいつけも「はい、はい」ときいて、また弟の面倒もよくみていた。